ハレ ガストロノミア@恵比寿 一皿一杯に驚きがある懐石イタリアン

間違いなく2018年上期MY BEST1レストラン。
2018年下期もこれ以上のレストランに出会えるかどうか…。
というわけで今回のレビューは長いです。語ります。
お仕事でお世話になっている方が大絶賛していたレストラン。
メニューを見せてもらっても、なにが凄いの?という感じだったのですが、いざ出かけたら至高の時間を過ごすことができました。
HaRe Gastronomia (ハレ ガストロノミア)
親しみを込めて「ハレ」と呼んでいました。
以前は「ikra」というイタリアンレストランでメディアでもたびたび紹介されていた予約困難店でしたが、今年の6月1日にリニューアルオープンしたのだそうです。

恵比寿駅西口から徒歩3分ほど。シェイク シャックの右の道を上り1階が不動産屋さんのビルを右折。少し歩いた右手にあるビルの2階です。
看板はなく、1階入り口前のインターフォンを押してドアを開けてもらいます。

中に入ると、天井が高く広々とした空間に大きな本物の木が飾られていて、ビルの中とは思えない開放感です。
時間が決まってて平日は18時半、19時半、20時半、土日は18時、19時、20時にお料理が一斉にスタートします。
お料理は8,500円、12,000円、16,000円の3コース。
12,000円のコースに4,000円のハーフペアリングをお願いしました。(フルペアリングは6,000円)
グラスビールは400円~、スパークリングワインは800円、グラスワインは1,000円~ありますが、ここは是非ペアリングを!!
お料理を2倍、3倍に楽しむことができます。
6月の水無月のコースは、平安時代氷を食べて暑気払いをしていた「氷の節句」にちなんで、氷をテーマにしたお料理となっています。夏野菜もふんだんに使われていました。
Stuzzichino-先付
玉蜀黍のビアンコマンジャーレ 蓴菜と生雲丹
桜海老 枝豆 白ポレンタのフリット

左が北海道産のピュアホワイトを使用したビアンコマンジャーレ。濃厚なとうもろこしの甘みと雲丹の甘み、ジュンサイのトゥルンとした食感が、口の中で一体となって絶妙なハーモニーになります。
フリットは6月最後の行事「夏越の祓え」でいただくお菓子水無月を模しているのだそうです。あ~言われてみると確かに!!
今年はここで水無月食べたから厄払いできたかしら。
上に乗っている黄色い葉はコーンスプラウト。齧っているととうもろこしの甘みが出てくるから不思議。
Cambridge Road Naturalist Rose

こちらにあわせたのはニュージーランドのナチュラルワイン。ノンフィルターで作られているので瓶の中に澱があり、ロゼワインですが微発泡しています。ラベルの絵から日本のワインかと思ってしまいました。そして、なぜか梅の香りがします。ほんのりと甘くて食前酒としてもピッタリの1杯でした。
いきなり1杯目から「やられた!」といった感じです。
Antipasto caldo-御椀
夏野菜とイタリア産チーズのコンポジション

お料理のジャンルはイタリアンなのですが懐石料理の流れでお料理が供されます。
お椀ですが温かいお椀ではなく、夏らしい冷たいお椀。添えられたスプーンまで冷たという気の配りよう。

この一皿にいろんな調理法のトマトが入っています。
泡状になったトマトやセミドライトマトとリコッタチーズのカプレーゼ、スプーンですくっているのは焼き茄子とパプリカのアイス…。
ひとくちひとくち、違う味わいを楽しめます。一緒に食べるとまた一興。無限の組合せがあるお椀。
横山五十 純米大吟醸 WHITE うすにごり生

長崎県壱岐島にある重家酒造の日本酒です。焼酎蔵として有名な重家酒造は平成2年まで日本酒も作っていましたが、杜氏の高齢化で日本酒作りを断念。日本酒作りを復活させたいという思いから再度勉強を始め、山口県の澄川酒造場の酒蔵を借りて日本酒作りを再開しました。
味は日本酒と思えないフルーティーさ!マスカットのような甘さがありながら、飲み口はキレがあってスッキリ。こ、こ、これは家での飲みたい!!冷蔵庫に入れておきたい!!
今年重家酒造に念願の新しい日本酒蔵ができたので、横山五十とは別の日本酒作りが始まるそうですよ。
で、こういう話をしながらお酒を注いでくれるので、お酒がまたおいしく感じるんですよ。蘊蓄と違うの。聞いてて、とっても楽しいの。
Antipasto misto-八寸

八寸の最初の一品は時季の野菜の豆乳バーニャ・カウダ。

丸い器は酒器になっていて柚子酒をいただきました。
そして運ばれてきたのがこちら。

時季の野菜の豆乳バーニャ・カウダ
カンパチのマリナート 胡麻のクレーマ
パルミジャーノ・レッジャーノのフラン バルサミコ、カカオの土
パルマ産プロシュート メロン マスカルポーネ
水牛のロビオラ 賀茂茄子の冷製田楽
姫栄螺の旨煮
63℃で加熱した岩牡蠣とヌーべ 山葵と酒粕のクレーマ
どれから食べようか迷ってしまいます。そこへペアリングのお酒が。
天遊琳 牡蠣限定 純米吟醸酒

三重県タカハシ酒造の天遊琳の中でも牡蠣にあわせた牡蠣限定のお酒。焼酎用の白麹を使うことでクエン酸の酸味が出た日本酒。これは飲んだことのない味。

岩牡蠣を63度でじっくり火を通し、生牡蠣の食感を残しながら、蒸し牡蠣の濃厚な旨味を味わえる牡蠣を口に入れた後、このお酒を飲むと、お酒の酸味が柑橘系の代わりとなって牡蠣の旨味を際立たせます。
言葉を失うおいしさ。
そこへまたまた日本酒が。
奈良県油長酒造の鷹長

清酒造りの起源と言われている菩提もとという醸造法で作られたお酒です。こちらも発酵によってほんの少し酸味があるけど、クエン酸ではなく乳酸菌によるヨーグルトのような酸味。
水牛のロビオラ 賀茂茄子の冷製田楽とあわせていただきました。

パルマ産プロシュートとメロンは間にはマスカルポーネチーズが挟んであって、技あり生ハムメロンといった感じ。これはちょっと家でも真似してみよう。
まだまだ日本酒が出てきます。
京都府向井酒造の伊根満開

え?これ日本酒?と驚いてしまうロゼワインのようなきれいな色。赤米という古代米を使っているので、この色になっています。日本酒はうるち米で作ったものをいうのですが、赤米はもち米になるので、東京農大の監修ということで日本酒となっているようです。
ひとくち飲むと深い甘みが口の中に広がります。この味わいは日本酒ではないですね。あ、これは誉め言葉です。この前に飲んだ牡蠣限定の天遊琳といい、日本酒の可能性って今どんどん広がっているんですね。
ここで出しているお酒を選んでいるのはすべてホール担当の木村さんという男性。お酒のセレクトはもちろん、お話しがとにかく楽しいのです。
そして、どんどんお酒を出してくれるのは、日本酒はお米と思って欲しいからとのこと。おかずを食べてご飯を食べるように、お料理を食べたら日本酒を飲んで欲しいんですって。なんかすごい贅沢。おかずにあわせてお米を変えてるようなものですよね~。
八寸の最後は稚鮎のカダイフ揚げと青のカポナータ グリーンオリーブのタップナード

鮎のほろ苦さがおいしい!大人になって良かったと思える瞬間(笑)
八寸が終わった時点で、かなりの満足感。
Pane-箸休め
トマトとローズマリーのフォカッチャ
黒豆と赤味噌のパン・オ・ルヴァン

どちらもおいしかったけど黒豆と赤味噌のパン・オ・ルヴァンは買って帰りたいくらい。販売して欲しい。赤味噌の甘さがたまらない。

添えられていたのは桜のチップでスモークされた豆乳サワークリーム。
おいしいだけじゃなくヘルシー!!
次に用意されたお酒はこちら。
オーストラリアのGranite Hills

こちらとあわせたお料理が
Fegato-強肴
熟成味醂でマリネしたフォアグラ 西瓜の奈良漬
ヘーゼルナッツとメレンゲのクロカンテ

フォアグラ…いろんなところで食べてきたけど、こんな臭みのないフォアグラははじめて!!
西瓜の奈良漬けが、奈良漬け特有のお酒の香りがなく日本酒の甘さだけ残っていて、口の中でねっとり蕩けるフォアグラにコリコリとした食感をプラスしています。さ~ら~に~下に敷いてあるヘーゼルナッツの香ばしさが悶絶級!!

これにさっきのフルーティーな辛口の白ワインGranite Hillsをあわせると口の中がサッパリとして、次のひとくちをまたクリアな舌で味わえるのですよ。
「こちらもどうぞ」と福島県宮泉銘醸の寫樂(しゃらく)

こちらもおいしかったけど、私は最初のGranite Hillsの方が好きかな。寫樂が凡庸に感じてしまう恐ろしさ(^^;
Carne-焼物
塩麹に漬けた子羊ロースト 古酒と青紫蘇の香るスーゴ 柴漬けとクスクス

この一皿も感動ものだった~~。
小羊は言うまでもなく、柴漬けを混ぜたクスクスがおいしくて!!
クスクス実はあまり得意じゃなかったんですよ。
でも、これは最後の一粒まで意地汚く食べちゃいました。

やわらかい~~。ラム独特のクセがないです。
Orgo Rkatsiteli

あわせたのはジョージアのオレンジワイン。
まろやかな飲み口でありながら、しっかりタンニンも感じさせる深みのある味。
ここで、ほうじ茶。

かなり飲んでいるので、ほっとひといき。
Pasta-御飯・小吸物・漬物
本日のパスタ

この中から生海苔のトレネッテ 塩水雲丹とばら海苔のクリームソースをセレクト。
毛蟹とそら豆カラスミのタリオリーニと悩んだ~。


パスタはみんなお店で作っているそうです。
上に乗っているのはアマランサスのマイクロリーフ。しっかりとした食感でするするっと食べちゃいそうなパスタに食べごたえをプラスしています。
佐賀の大和酒造 アカカベ ブラックホール 純米大吟醸 生酒と一緒に。

パスタにはこちら。フレッシュな辛口の日本酒は海鮮によくあいます。
丹波黒鷄と和牛、しじみのブロード 彩り野菜のマリナート

ブロードってイタリア料理で出汁ってことなんだけど、牛と鶏としじみでとった出汁ですよ。複雑な味で超絶おいしい!!
味の宇宙や~~~と彦摩呂のように叫んじゃいそう(笑)
マリナードはかなり酸味があってほろ酔い加減の自分にカツをいれる味。
ここで、なんと熱燗の登場。

福井県黒龍酒蔵の黒龍 吟風 大吟醸純米です。
え?大吟醸を熱燗にしちゃうの?と、まずビックリ。
飲むとちょっぴり熱い。熱燗は人肌のぬる勘と思って飲むと、「お?」という温度。
最初75度まで温め、そこに半分またお酒を足して60度ほどの温度にしているとか。
あ、その前にそのまましばらくおいて味を落ち着けているとか言ってたような…。
あまりのおいしさにせっかくの説明が飛んじゃいました。
ただ温めただけの熱燗じゃないんですよ。
というか黒龍って幻の酒として有名なお酒じゃないですか!!
ものすごく贅沢な一杯。
Caffe o Te-御茶

コーヒーかお茶を選びます。

私はアールグレイで。
Frutta-水物
甘酒とフロマージュブランのビアンコマンジャーレ ゴールデンキウイのソルベット

キウイのアイスの上にゴールデンキウイ

Dolce-菓子
梅酒のババ 酒粕のジェラートとうすい豌豆のピュレ

イタリアの伝統的なお菓子ババを梅酒入りで。
梅に鶯を模してソースはウグイス豆を使っています。

ん~~~~おいしい!梅に鶯っておいしい組み合わせでもあったのか(笑)
実はこのあと抹茶のパウンドケーキも出てきたのですが、食べきれずにお持ち帰りとさせていただきました。
そして、〆はシャンパン!!
〆シャン!!
Bruno Paillard

シャンパンは最初に飲むものと思っていたら、ここでは最後にシャンパンで〆るのをオススメしているんですって!!
これは”あり”です(笑)
スッキリします。
これで税、サービス料がプラスで20,000円弱。
内容から考えるとかなりCP良いと思います。
一皿一皿、一杯一杯に驚きがあって、食べてて楽しかった。
そしてホール担当の木村さんの話がおもしろいのです。いろんな知識が豊富で、だからといって蘊蓄っぽいわけでなく、素直に頷いて聞けるのですよ。
見た目若そうなのにと年齢を聞いたら27歳ですって!!若!!
「だいたい34~35歳に見られて…」と言ってたけど、それは見た目ではなく知識量でだと思いますよ。
このお店は年内中にもう一度行きたい。常連になりたい~~!!
HaRe Gastronomia (イタリアン / 恵比寿駅、代官山駅、中目黒駅)
夜総合点★★★★☆ 4.9
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